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占い : プロローグ
とある女の物語。...
粒
僕は僕であって 僕でしかないんだけれど この僕がいつか いつの日かどこかの誰かが必要としてくれたとき そのときだけでもいい そのためにあればいいなって 冷たい雨に打たれて感じた 僕が雨に濡れてるとき きっと誰かも濡れてるんだ 僕は知らない だけど濡れてる人がいる 僕が恋人を抱きしめてるとき きっとたくさんの人もだれかを抱きしめてる だけどそれを知らない人もいる だれにも抱きしめてもらえず泣いてる人もいる そんな人に僕はなにもしてやれない ただ思う 僕が幸せを感じてるとき そうじゃない人もいるんだって 幸せなこの瞬間に、と、そうじゃない人に 涙が出てくる ただの優越感なのかもしれない そうじゃない人への同情なのかもしれない 下にも上にもキリがない 卑屈になればいくらでも僕は小さくなれる だけど思う 僕がどんな気持ちでいても だれかがどんな気持ちになっても 僕が涙を流すそれはいつ...
プレゼントの行方。
また気づいた。 プレゼントっつーのはたぶん、その人にとって、欲しさもそこまで優先順位の高いものじゃないものがベスト。 一番欲しいものなんざたぶん、自分でも高くてなかなか手が出せないものだと思うわけ。結局。 で、それを除外して、そのとき一番欲しいものなんつーのは、必要なものだったり衝動的にでも自分で買っちゃうと思うわけ。いつも。 そこでだ。そこでだよ。 その次の次あたりにランクインしてるものが、贈り物としてベストかなと思うわけ。たいがい。 次はたぶん、“そこまで必要じゃないけど、別に今じゃなくてもいいかな”ぐらいのものだと思うわけ。それでいて安い。だから衝動すら起こらないぐらい。 そしてその次に、“自分がお金出してまで欲しいわけじゃないけど、だれかが買ってくれるんなら欲しい”程度に欲しいものがくると思うわけ。それってきっと、なかなかのお値段。 つまり、自分に...
もいちど恋して、何度も恋して、恋しくて。
寒いだろ なにをそんなにつかんでるのさ 強く手をにぎりしめすぎだよ かしてごらん すごく冷たいね すごく震えていたんだね 鼻の頭が真っ赤だよ そんなに僕を見つめるより鼻水を拭いて そしてほら 涙も拭いて 苦しいのかい ホントに小さな罪をこれまで たくさん繰り返してきたね そのたびに大きな悲しみを乗り越えて 今こうして涙を流して笑っていられる きっと僕の知らない痛みも抱えて その細い手のひらには いくつもの傷が刻まれてるんだろう でも涙を拭いながら小さくにぎって それを隠しちゃいけないよ 僕にも見せて 僕にもそこに触れさせて 悲しみをにぎりつぶしちゃいけないよ 自分を壊しちゃいけない 自分のじゃない言葉で慰めたり そのすべてを背負うなんて言えないけれど そのときの深い悲しみがあったから 今の君があるんだよ それを壊しちゃいけないよ 僕はそれも大切にしたい どんな痛手もどんな孤独...
想う
泣いた。 涙が出てきた。 止められなかった。 その大事な人のことをしゃべっていたら、まるでさざ波のように静かな涙が押し寄せてきた。 最近その人とのあいだに、なにかしらわからないけど距離を感じるようになってしまっていた。 でも明らかに態度でそう示されてるとかじゃない。それはなんとなく、肌で感じるもの。感じてしまうもの。 実際には、そんなの勝手な妄想なのかもしれない。 触れられるものじゃない。触れたわけでもない。目には見えない。形もない。お金じゃ買えない切符がある。 どうしても、こらえることができなかった。 でもこれは、流していいもんだとも思った。だれも見てない。我慢することでもない。そんな制限だってどこにもない。 でもやっぱり、がんばっていた。 上を向いて、下を向いて、深呼吸して、また大きく息を吐いて。 でもダメだった。 こぼれた。 そして、1度流...
PETAL
PETAL 花が咲けば散るように 僕らの出会いも同じように 散るのもきれいな花だから なにがあっても この先なにが待ってようとも また何度も咲き誇ろう ひらひら落ちる花びらを 手のひら花びら指の隙間 服のどこかに引っかかってる 散っても咲いても美しいなら つぼみのころも愛しい きっと咲く花 想い描けてしまうから...
たった1度のため息を
ため息って、どうしてあんなにも悲しいイメージを持ってしまうんだろう… 退屈とか、幸せが逃げるとか… ため息ついたら、なんだかすごく気になるのは、どうしてだろう? 「どうしたの?」 「なんかあった?」 こんな言葉が浮かんでくる。 浮かんできては、消えてゆく。 なにもない。 あえて言うなら、時間が過ぎてくことがつらい。 幸せな時にも、ため息1つ。 ため息がクセになってる人もいる。 幸せなんて逃げてかない。 自分のその手でつかみとれ。 逃げちゃう前に食べてしまえ。 どしてもつらかったり悲しいときは、ため息じゃなくて泣いてしまえ。 もしかしたらため息以上の幸せ食べれるかもしれない。 素直になれるかもしれない。 涙に濡れた純粋さがその手のひらに。 ため息にも色がつけばいいのになぁ~…...
雨宿り
ぽつっぽつっと降ってきたら ほんの少し歩みを広げて ほんの少し遠くへ向かう そしてほのかな暗がりで ズボンやシャツがまとわりついてる 僕は微笑みながら雨を拭く やわらかな明かり すべてがゆっくりにじんでゆく 今は光も影も解け合うんだ まぶしすぎる光もなく すべてがまぶたを閉じた名残のように なにに追われることもなく なにを追ってるわけでもなく 僕が傾くほうにだけ 同じだけ少しだけ 僕に寄り添い合ってくれるだけ 走って帰ったっていい だけどずっとこうしていたい その音さえ忘れてしまうような ただ静かな眺めのなかで 遠くの景色とこのつま先に踊る雫とのはざ間で ただ濡れてくままに感じてたい 僕が君を好きなのも きっとこんな感じなんだね そう 君の手のひらで...