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復讐
2006年9月 1日 00:38
終わりなきもの。 金。金。金…… それによって崩壊となっていった家族、親に対するそれでもある。 とりつかれたように働いた親。 僕らのためと言っていた。 でも結局は、自分のために見えた。 夜ごと店を渡り歩き、女の上をハシゴして、その女と落ちていく。果てしなく。 子供の僕には迷惑だった。 そして今、這い上がることすらできない見えない底でもがいている。 おれは金で育った。 金に育てられた。 聖徳太子のように親の言うことを器用に聞きわけ、福沢諭吉のように勉学をすすめた。 稲造さんは誰か知らない。一葉さんも最近知った。 夏目漱石のような『坊ちゃん』に生まれても、野口英世のような才覚はない。 コインのように財布になければ困り、ありすぎれば邪険にされた。 その金を稼いでいたのは親かもしれない。 でもその上に放り出された。 ...
小径
2006年5月19日 21:33
進んでるのか 戻ってるのか 地面を覆う草や花 木の根や枯れ葉 色も知らずに踏みしめて その小径をぼくはただただ辿ってゆく 草と知るのはその形 花と知るのはその姿 木の根は触れればすぐわかる 枯れ葉と知るのは渇いているから この靴の下をぼくが小径と認めたのは そこが歩きやすそうだったから 時にはいくつも橋を渡った なにかをつなぐものじゃなくて ただそこをまたぐための橋 視界の先 その両端には 先も後も同じ景色に見えたりした 渡りきっても変わらないと きっとまた戻ってくる 進みながら戻ってる いつも前を向いて歩いている でもそれはいつか背後に流れていった いつも同じ景色のなかで また草や花を認めては 木の根に触れて感動する 枯れ葉のような自分の姿を忘れてさえ 変わらぬものに安堵の息吹が胸裏をかすめる でも同時に落胆もする ぼくは森に迷ってる だからそれは道じゃない 歩きやすいから...
クロス
2006年4月15日 00:53
どんなに言葉を費やして 自分を隠してきただろう 自分の知るすべての言葉を費やして どれだけ嘘をついただろう 自分の知る言葉で 知らない自分を覆ってきた ありもしない理由を作りだしては 無意味な結果を消してゆく だからなにも理解できなくて 言葉はいつも蜃気楼の檻の中 今までのなにかを変えるために 今日も明日もあさっても その繰り返しの繰り返しで 結局なにも変えられなくて だけど終わりはまだまだ来ない “結局”なんてたった2つの言葉を使うには まだまだ今じゃ早すぎる ずっと止まったままだった 時計の針はさっき手のなかで 今また動きはじめたばかりだから 小さく小さく 友達が笑顔も連れていって 他人の隙間を吹き抜ける季節の風の口笛に 自分の居場所もわからぬまま ひとり 交差点で鼻歌なんてね だけど嘘をつくために言葉を憶えたわけじゃない 自分の居場所を探すため...